当社は、『経営の見える化』に非常に重点を置いているのですが、そもそもなぜ?そこまで経営の見える化が重要と言っているのか?
その重要性を理解するために、具体的な例で見ていきましょう。
例:「任せられる人が育たない」、「社員の主体性がない」という悩みの場合
一般的に多い悩みとして『任せられる社員が育たない』、『社員の主体性がない』というものがありますが、コチラに関して考えてみたいと思います。
もし、あなたがとある会社の社員だったとして、下記のような内容を社長から言い渡されたらどのように感じるでしょうか?
向こうの山に大きな木があります。
この木には、沢山の果実が生っていて、この実を収穫できると1個1,000円ほどで売れます。
今、我々には10人のメンバーがいるので、もし、この実を皆で協力して沢山とれたら、物凄く儲かるかもしれません。
なので、皆さんには頑張ってこの木から沢山の実を収穫して欲しいです。
ご協力、宜しくお願いします!
さて、いかがだったでしょうか?
どのように感じられましたか?
多分、多くの方が、あまりの計画性と具体性の無さに、失笑を覚えたほどだと思います。
しかし、実際の経営の場で起こっているのは、こういった事に限りなく近い状態です。
当社が支援してきた会社のほとんどが会社の方針や事業の全体像を見える化していませんでした。
- そもそも会社全体の方針や戦略は何か?
- 任せるとはどんな事業のどんな部分?何を任せたいのか?
- どんな仕事内容・役割があるのか?
- 何がその人に対するミッション(使命感をもって取り組むこと)なのか?
- どんな状態にして欲しい期待値があるか?
- いつまでに達成して欲しいのか?
- 期待していることを実現するためにいつ、どのように報連相するのか?のルールは?
- 育った状態とはどんな状態か?(自社における任せられる人、主体性がある人の定義とは?)
最低限、上記のようなことが見える化されなければ、会社が何をどうしたいのか?が全く分からず、自ら主体性を発揮しようと思っても方針や与えられている役割が明確でないので動けないのではないでしょうか?
つまり、何が言いたいのか?と申しますと、会社の方針やそれぞれの役割・責任などが見える化されていなければ、そもそも社長の頭にそれがあったとしても伝わっていない可能性が高いですし、仮に伝わっていたとしてもそれを常に覚えていて実行出来ている可能性は限りなく低いですよ!ということです。
自分達が向かうべきゴールも理解できておらず、自らの役割・責任も理解出来ていないのに主体的に動くということは非常に難しいですし、また、自らが求められている役割・責任、必要な結果が曖昧であるということは、そこに向けて努力して成長することは不可能です。
だからこそ、任せられる社員が育たなかったり、社員の主体性が発揮されていなかったりするのです。
勿論、社員さん自体にも問題があることも多々あるとは思いますが、まずは会社としての方針、期待を見える化するのは社員を育成し、主体性を高めるためには必須の条件だということはご理解頂けると思います。
続いて、「見える化」の次に重要となるのは、核心課題の発見です。
冒頭でもお伝えした通り、核心課題とは、会社の成長に大きく寄与する最重要課題であり、この課題を解決すれば、一気に会社が拡大成長する可能性を秘めているものです。
多くの会社では、当社も含めて、基本は社長の強味やその会社にしかない得意な部分を活用して業績を伸ばしていることが多いですから、そういった意味では既に多くの中小企業では最大限の努力はされていると思います。
しかしながら、こと経営においては絶対に避けては通れない原則と言ったものもありますので、そういった原則に反して実施できていないことなどがあると、そこが弱点となって会社が伸びないということが多々あります。
そのポイントこそがまさに核心課題なのです。
では、具体的にどのように核心課題を見つけていくのか?
上記で説明した「見える化」の件も含めながら、よくある中小企業の悩みである「社長以外売上が上がらあない」という悩みに沿ってご紹介したいと思います。
核心課題を見極める為に大事なことは、『原理原則の経営の型』に沿った事業の見える化です。
経営の原理原則と聞くと難しく感じるかもしれませんが、実はとてもシンプルで当たり前のことです。
例えば、商品を購入しようと思ったらお客様が通るプロセスが、
商品を認知する⇒情報を収集する(商談)⇒比較検討する⇒購入する⇒リピートする
といった流れになるかと思いますが、こういったことはどの事業でも当てはまるので、こういったプロセスを数字にして表すことで、今の会社の経営状況が一目瞭然に分かります。
例えばですが、認知(100)⇒商談(4)⇒契約(2)⇒リピート(2)
という数値結果が出ている場合、課題はどこにあるでしょうか?
恐らく、認知から商談へと進む数が低いことから、顧客に対する『興味付け』が足りない、そもそも見込み顧客に接触出来ていないというのが予測できるのではないでしょうか?
上記は、マーケティングフローを簡易版で表現しただけですが、他の要素にも経営のフレームに沿って答えていく事で解決出来ていない課題を浮き彫りにすることが出来ます。
例えば、売上に関する必要な回答は以下のようなことです。
- サービスのコンセプトは?(誰に?何を?誰が?どんな方法で?どんな独自性?どんな便益性?)
- なんで自社じゃなきゃダメなのか?他社との違いは?(USPは?)
- どのように市場に認知してもらうのか?どのように他社との違いを伝えるのか?
- 販売のパターンは?どういう流れで接触し、どう話しかけ、どのように顧客の心境は変化するのか?
- どこからのリードがどれくらいあるのか?アポ率はどれくらい?成約率は?リピート率は?
- なぜ?自社サービスを顧客はリピートし続けてしてくれるのか?
- 目標を達成する為に「誰が」、「何を」、「どれくらい」やらないといけないのか?
- 顧客が購入を躊躇う理由はどういったことで、どのように乗り越えるのか?
上記は、販売における経営フレーム(質問)の一部ですが、コチラのフレームに答えていくだけでもどこを改善すれば売上が上がりやすくなるか?イメージしやすいかと思います。
また、上記のような内容を見える化することによって、会社の現状を説明しやすい状況になるので、社員を育成しやすいですし、業務の改善や、改善による成果が一目瞭然で分かるようになります。
つまり、社長だけでなく、皆で改善できますし、再現性ある型が完成していくので社長以外の人も売上をあげられるようになるのです。
核心課題の発見には、未来のゴールと現状の見える化が必要
原理原則に沿ったフレームを活用することで、頭の整理にもなりますし、最短・最速で自社の状況を把握するイメージが沸いたのではないでしょうか?
実際のところは、売上の部分だけでなく、会社の方針(目的、目標、戦略、組織体制図、責任分担表等)や業務フロー、採用フロー等、ありとあらゆる内容を見える化していきますので、全体を見据えた上で核心課題を見つけていきます。
ここで、最も大事なポイントなのですが、多くの会社では解決してもそんなに大きなリターンを得られない問題を解決しようと必死になっている場合が多いです。
先ほどは、『経営者以外売上を上げられない』という問題を取り上げましたが、実際の当社のクライアントで本当の問題になっているのは社員の役割・責任、ミッションが明確でなく、『明確な結果責任を視覚化して伝えていなかった』という問題がありました。
そもそも、社長の中では何となく社員に売上を期待していたのですが、社員側にはそういったことを伝えておらず、別の役割を与えていたので、その社員さん達は自分達が売上をあげる事に期待されていると理解していなかったのです。
今まで当社が対応してきたお客様の8~9割以上がこういった取り組むべき課題そのものが間違っていましたし、そこを改善しただけで業績が2倍、3倍となった会社様も沢山あります。
是非、御社の核心課題の発見に力を入れて欲しいですし、自社の課題を客観的な視点で見つけて欲しいと思われた方は、当社にご相談頂ければと思います。