職場で「もっとリーダーシップを発揮してほしい」と言われたことがあるものの、具体的にどう動けば良いのか分からず悩んでいませんか?
また、チームを任されたのに、メンバーがついてこない、行動が伴わないといった壁にぶつかっている方も多いのではないでしょうか。

「自分にリーダーの資質はあるのだろうか…」
「どうすればメンバーが主体的に動くのか?」
「指示ばかりでは反発されそうで怖い…」

このような悩みを持つ方に向けて、この記事では“今求められる新しいリーダーシップ”とその具体的な発揮方法について解説します。


リーダーシップとは「役職」ではなく「影響力」

まず大前提として知っておきたいのは、リーダーシップとは「部長」や「課長」など役職を意味する言葉ではないということです。

本来のリーダーシップとは、“他人の思考や行動に良い影響を与える力”のこと。
つまり、肩書きがなくても、メンバーの行動に前向きな変化を生み出せる人は、立派なリーダーなのです。

逆に言えば、「上司なのに尊敬されない」「言っていることは正しくても誰も動かない」といった状況は、リーダーシップが機能していない証拠です。


リーダーシップを発揮するには「在り方」が9割

では、リーダーシップをどうやって発揮すればよいのでしょうか。

結論から言えば、重要なのは「スキル」よりも「在り方(ありかた)」です
在り方とは、価値観、物事の捉え方、意志の方向性など、内面的な土台のこと。

たとえば、同じ発言でも

  • 自分の保身のために言っている人
  • チームの未来を真剣に考えて発言している人

では、周囲の受け止め方がまったく異なります。

つまり、「この人についていきたい」と思ってもらえる在り方を持つことが、リーダーシップを発揮するための出発点なのです。


なぜ在り方がズレるとリーダーシップが通じないのか?

人は誰しも、自分独自の“色眼鏡”を通して世界を見ています。

過去の経験、性格、信念、文化、家庭環境――
これらがフィルターとなって、「正しい」「間違っている」を判断しています。

リーダーが「やるべきだ」と思っていることが、部下にとっては「意味不明」になってしまうのは、在り方のズレによるものです。

したがって、リーダーとしてまず必要なのは、「共通の認識を育てること」
これは言い換えれば、組織全体で“共有された価値観”を育むということでもあります。


価値観を共有する場をつくる

在り方をそろえるには、価値観をすり合わせる場が不可欠です。

  • なぜこの仕事をやっているのか
  • どんな未来を目指しているのか
  • 何を大切にして行動しているのか

これらをチーム内で定期的に話し合い、メンバー一人ひとりが「自分ごと化」できる状態をつくることが、リーダーの重要な役割となります。

このプロセスを飛ばしてスキルや指示ばかり強化しても、リーダーシップは機能しません。


リーダーシップ発揮の具体的な4つのアプローチ

在り方を整えたうえで、さらに行動面でもリーダーシップを発揮するために、次の4つのアプローチを意識しましょう。

1. ビジョンを描き、言語化する

「どこに向かっていくのか」が明確でなければ、メンバーは自律的に動けません。

  • 1年後どうなっていたいか?
  • チームの理想像とは何か?
  • なぜそれを目指すのか?

ビジョンは抽象的でもかまいませんが、言語化して日常的に共有することが重要です。

2. 任せる覚悟と、支える姿勢をもつ

リーダーシップは「指示すること」ではなく、「任せること」で発揮されます。

とはいえ、ただ放任するのではなく、
必要な支援、情報、判断軸を与えたうえで「信じて任せる」ことが重要です。

このバランス感覚があるかどうかで、チームの成長速度は大きく変わります。

3. 失敗に対する捉え方を変える

メンバーが挑戦を恐れる理由の多くは、「失敗を責められるのでは?」という不安です。

リーダーが率先して「失敗は学び」として受け入れる姿勢を見せることで、心理的安全性が生まれます

チームにチャレンジ文化を根付かせるには、まずリーダー自身が失敗を恐れずに動く必要があります。

4. 言葉より「背中」で示す

本当に影響力を持つリーダーは、言葉ではなく「行動」で信頼を勝ち取っています。

  • 誰よりも丁寧な仕事ぶり
  • 挨拶や感謝を欠かさない姿勢
  • 誰かが困っていたら真っ先に動く利他性

こうした“背中”がリーダーの最大の武器です。


リーダーシップは「後天的」に育つ

ここまで読んで、「自分には向いていないかもしれない」と思った方もいるかもしれません。

ですが、リーダーシップは先天的な才能ではありません。
後天的に、誰でも育てることができる“能力”です。

大切なのは、「人を動かす前に、自分自身がどう在るか」を問い続けること。

つまり、リーダーシップとは、自分との対話の積み重ねであり、
自分の言動に責任を持ち続ける“在り方の修行”でもあるのです。


まとめ:リーダーシップを発揮するとは「自分が変わる」こと

リーダーシップというと、「人を動かす技術」や「権限による統率力」を想像しがちです。
しかし、本質はまったく違います。

リーダーシップとは、他人を変えることではなく、自分を変えることで生まれるもの。

  • 価値観を共有し
  • 方向性を示し
  • 信じて任せ
  • 自ら動く

この一連の在り方が、周囲に“影響”を与え、結果として「チームを動かす力」となるのです。もし、今の組織や職場でうまくいっていないと感じるなら、何よりもまず、「自分の在り方」を問い直すことから始めてみてください。